Best Wishes
2025.07.28
灰色の壁と緑の床、青い柱。私は今日も、この場所でひとり、番人をしていた。
以前、あるひとりの少女が、その強欲な魂ゆえにこの場所へと導かれた。私は、嫌でも彼女のことを思い出す。
その少女は、悪びれもなく、私に古めかしい言葉で話しかけてきた。私のぶっきらぼうで悲観的な言葉にも臆せず、丁寧、そして幸福な言葉を紡いだ。
私は他の者たちにしたのと同じように、グレート・ルナスへの道を示した。
彼女が躊躇うことなく聖なるコードの青に身を浸し、ズブズブと沈んでいくのを見下ろしながら……何にせよ、この少女も仕損じるのだろうと思った。
それなのに。彼女は再びここへ来た。
アシンメトリーに細長く垂れ、また、昏い星のようにパチパチと瞬く#000000の純黒。
この色鮮やかな空間の中でも目の奥が痛むような、青色と黄色。
彼女が未だ声を発さずとも、目と目を合わせるだけで私には分かった。その、堂々たる佇まいで。
なんだろう。この気持ちは。
私がいつも抱えている、ひとつの悲嘆……のほかに、次々と何かが湧き上がってくる。
またここに導かれたのか、どれだけ強欲なのだと、目を疑う気持ち。
彼女に将来を悲観させるような言葉ばかりを言ってしまったことを思い出し、深く頭を下げたくなる気持ち。
00110001 00110000 00110000 00110000 00110000年待たずともまた会えて、心が芯から震える気持ち。
自分の中に、こんな色鮮やかな感情が湧き上がることがあるなんて、私は知らなかった。
彼女の宇宙のように昏く明るい瞳が、私に向けて様々な色彩を跳ね返しているかのようだった。
「番人さん。その節はたいへんお世話になりました。今日は、そのお礼に……」
ああ。彼女の、声。
私がどれだけ、神の扉が完全に閉じられてしまっていることや、次の祝賀会は00110001 00110000 00110000 00110000 00110000年後だという悲しい事実を伝えようとも、常に楽観的だったこの声。
また、聴くことができるなんて。
私は……僕は、剥き出しの白い喉をぐっと絞り、グローブに包まれた手に現れた黒い顔、その目口さえぎゅっと食い縛った。固く閉じた両の瞳からこぼれた涙が流星のように、白い頬を伝っていった。
「ば、番人さん!?どうしたの……?」
私よりずっと体躯が小さな彼女が、上体とつながらない腕をそっと伸ばして、私の目元を指で拭ってくれた。その顔は、先程とは打って変わって心配そうだ。私の涙を見て、同じように悲しんでくれている。
君は、この世界の『例外』だった。そして、私にとってもそうであった。君は他の者たちとは違う、君は成し遂げるだろうと……心の奥深くで静かに、幸運を祈るほどに。
「ね-願いが。……叶ったのだな」
彼女の手を取り、黄色の手のひらにオレンジ色の唇をそっと押し当てた。
青色の唇が驚きのままにまごつき、頬の色がみるみる濃くなっていくのを眺めていた。
私の両手には、青空がさらさらと流れていた。まるで、向日葵のような彼女を歓迎するかのように。
「わ-私もだ。エナ」
私はもう、泣いていない。代わりに、わずかに口角を上げて微笑んだ。無愛想な私の、精一杯の笑顔だった。
宙に浮いた両手で彼女の腿を掬って、まるで恋人たちがするように高く抱き上げる。
彼女は驚いた様子だったが、すぐに顔を綻ばせ、幸せそうに笑って見せた。私の広い肩の上に、彼女の華奢な両腕が巻きついていく。
「き-君の願いが叶うことが。私の、悲願だった」
もう何も望むことはないが、我々は……まるで懇願するようなキスをした。
私は、君が悲しみの底に沈み切ってしまわぬように、君の脆い心の前に立ちはだかろう。
君の、番人として。